3日間仕事を終えて、実家に帰って来た。
仕事そのものは可もなく不可もなく…淡々と一日が流れていっている。
仕事をしている日は、死んだ祖母の家に居候させてもらっている。
一日、仕事を終えて、誰もいない祖母の家に帰る。
家には、当たり前だが人の気配はない。
だが、祖母が生きていた時の「生活」は残っている。
それは、冷蔵庫の中の古い醤油だったり、
祖母が使わずにためこんでいたスーパーの紙袋だったり、
きちんと洗って、たたまれていたシーツだったり…
もうこの世にはいない祖母が、まるで僕が暮らす事をわかっていたかのように
生活の秩序は保たれたままである。
僕に内定が出て、そして祖母の家で居候させてもらう事が決まった時、
何か「見えざる手」が僕へ差し伸べられたような、そんな気がした。
この機会を逃すともう僕には二度とそんなことはないような気がした。
家に帰り、仏壇に手を合わせる時、いつも僕は何かを聞きたいと思っている。
でもそれを聞く事はできない。