拝啓、福田康夫殿

やはり、因果応報というか遅刻した報いは、ちゃんと存在していた。

朝、会社には歯が痛くて遅れたと伝えた。

歯痛にしたのは、体調不良で心配されるよりも、マシかと考えたからである。

会社に着くと、部長は不可解な表情を浮かべていた。

結局、歯痛には全く触れられず、午後からはいつもどおり働いた。

しかし、嘘ついた事を神様は見ていたのだろう、今日は全く運がついていなかった。

夕方、巡回先のビルに着くと、異常警報が流れていた。

ビルにある汚水層が満水になっていた…

ここから、具体的な記述は避けるが、とてつもなく臭い思いをした。

これは罰なんだろうな…


すべての作業を終え、ビルの路地裏で座り込んでタバコを吸っていると、

黒塗りの車から、紳士風の男性が出てきた。

福田康夫さんだった。

僕は思わず立ち上がり、会釈をしてしまった。

福田さんは、きょとんとしつつも、ニヤっと笑って料亭へ入っていった。

僕と福田さんの最初で最後の出会いだった。


そんな一日。