逃避行

やっぱりどうしても今を抜け出したくて、

土曜の仕事も適当にあげ、中央線に乗ってしまった。

 (←中央線)

ほんとに行くあてもなく、ただ電車に乗ってればいいだろう、

そんな感覚でたどり着いたのは夜の長野だった。

むろん、宿も決めてないので適当に探し、

善光寺近くのお寺に泊めてもらうことになった。


そのあたりからだろう、旅がいい感じに転がっていったのは。

お寺の人のご厚意で、近場の温泉まで連れて行ってもらい、

のんびりと湯に浸かる幸せを味わった。

寺にはもう一人、謎のおじさんもいた。

境内で一緒にたばこ吸いながら、そのおじさんといろいろ話したが、

哲学者のように頭が切れ、旅先の嘘もすぐ見抜かれてしまった。

でも本人はアイスクリーム屋と名乗っていたが、本当だろうか…?

 (←善光寺


2日目はひたすら電車に乗って、新潟へ向かった。

とりあえず日本の未開の地、行った事のない所へ行こうと思った。

そういえば今回の旅の目的は、「日本海」だったことを思い出し、

途中下車して海を眺めようと思ったのだが…

残念ながら私が乗った飯山線は森の中をひたすら走る電車で、

海は遠ざかるばかりであった。

 (ことしもお米は豊作のようです?)
新潟に着いたのが夕方の4時、ふと佐渡島へ行こうと思い立った。

日本海に囲まれた島なら、どっぷりと黄昏ることができるに違いない、

そう思い、佐渡汽船乗り場へ向かった、

しかし、ふと財布をみるとまったくお金がないことに気付く。

佐渡にATMはあるのだろうか、そもそも宿はあいているのだろうか…

急に不安になり、迷いに迷った挙句、船を見送るしかできなかった。

(←乗りそびれた船)

新潟の夜、街はあまり人影もなく、萬代橋のたもとで寂しくしていた。

近くの安宿に泊まりつつ、夜をさ迷い、新潟の夜は暮れて行った。

 (←萬代橋

3日目、つまり今日だが、新潟から会津若松へ向かった。

目的はもうないんだけど、途中の喜多方でラーメン食ったりして、

ダラダラ、向かったのは結局この家だった。

何だかんだ、僕はやはりここに戻ってきている。

旅はやはり終わる。終わるもんだな…