誰かの声

僕の父親は、寝床でテレビをつけながら寝ている。

うるさくないのだろうか、と思いつつも

口をあけ、寝息を立てている父を確認し、

そっと、テレビを消すと、

「なんで消すんだ!」と必ず僕に言うのだった。


そんな遠い一場面をなぜ今書いたかというと、

最近の僕もテレビをつけたままでないと眠れなくなったからだ。

眼をとじ誰かしらの声が聞こえていると、

安心する。

眼をとじ自らの心の声だけが聞こえてくると、

必ず浅い眠りになり、すぐ目が覚めてしまう。


今日も誰かしらの声に包まれて、

眠ろう。