優秀な人間と勘違いされ♪

昨日、どさ回りが案外早く終わり、

昼過ぎには会社へと戻る事が出来た。

日中の社内にいることなど、殆どなかったので、

新鮮な気持ちになりつつも、適当な事務仕事でもこなそうと、

机に座って、茶を飲んでいた。

すると後ろから声が掛かる。

3月末で退職する噂の、部長からだった。

「ちょっと会議室まで来てくれ」


入社して以来、僕を有能な人間と思いこみ、

他の人間より露骨なエコひいきをされてきた。

かえってそれが、周りのやっかみを買うことにもなったのだが…


それはさておき、会議室へ入ると、

本社のお偉いさんや他の部長などが一斉にいるではないか。

「〇○くん、入社して三年、君が受けてきた研修内容とその成果を教えてくれ」

4月に入る新入社員の為にどのような研修が有益を考える会議のようであった。


僕は3人以上を目の前にしてしまうと、呂律が回らなくなる悪癖がある。

頭が真っ白になってしまうのだ。

だが、なんとかして話していると、

頭の切れる他の部長から質問が飛んで来る。

「電気の設備、たとえば、&%=Q&&H&&'&'$&D#$'はどうする?」

何を聞いてるかわからずしどろもどろになりつつ、

答えていた途中で「いや、#$&&&#$についてはどう?」

と眼鏡の端を口にくわえながら、

眉間にしわを寄せて聞いてくる。

僕はか細い声で「…わかりません」と答えるしかなかった。


「3年たってこのレベルなんだよな〜」と笑いながら言う総務部長の

一言に苦笑いしつつ、部屋を出て、

仕事も手につかず、書庫に逃げ込んで、

膝を抱えるしかなかった。

ああ…