よう若者

今日は某芸能事務所での作業立会であった。

芸能事務所だけあって、やはり何かとうるさく、

とても神経を使う現場である。

と言って今まで何度も立ち会っているが、

実際に芸能人に会ったこともない。


今日もそんな感じだろうと、

ふと、神経を抜いてボケっとしていたところ、

目の前に、芸能界のドンともいうべき、

某芸能人が取材者とともに目の前に現れた。

我々が作業している会議室で、インタビューを行うらしい。


僕は意味なく、目の前を何度も通り、

せくせくと働くそぶりを見せつつ、

次の一言が来るやもしれん、そんな期待をした。

「最近にしては随分よく働く若者だな、気に入った!

付き人としてウチに来いよ」


…と言ってもらえたらいいな、そう思っていたが、

あっけなく場所を変えてしまい、

その芸能人が消し忘れた煙草の煙を

ただただ眺めるしかなかった。