甘く溶けそう

10月中旬に引っ越す事となった。

二人暮らし、いわゆる同棲だ。

甘い蜜のような生活が待っている。

多分、32歳の僕は道を逸れず、

この生活を守るために、仕事も辞めず、

ひたすら生きていくのだろう…。


仕事での苦境と私生活のアンバランスで、

頭を掻きむしる思いだ。

もし1人でいたなら、何もかも捨てて、

寝て過ごす、実家に帰って引きこもる、

何もしない、不安と表裏一体の自由、

漠然とした希望、それらに身を寄せていたかもしれない。

逃げられる空間、今はそれを手放すような不安がある。


甘く溶けそうに感じるものに、苦味を覚えているのは、

味覚音痴だからってわけではない…