雨の朝

雨の朝、品川駅は改札を出ると、

高層ビル群に向けてたくさんの人々が

一方に歩き向かっている。

作業着姿のこの僕も

その方向の先にあるバス停を目指し歩き続けた。

何人くらいいるのだろう、千人はいるなと思う。

誰も知らない人たちだ。

どこかで会った人もこの中にいるかもしれない。

でも気付くことはもう出来ない。


『星の王子様』の中でたくさんの薔薇を見て

一輪のかけがえのない薔薇の存在に気づく、

そんなことがふと頭に浮かんだ。


たくさんの人の中で、出会える人はかけがえのない存在だ。

そう思う。