惜別の時


出会いがあれば、別れは来る。

この2月の終わりに、長く良くしてくれた人と

急な別れが来た。

それは人づてに、退職する噂からの伝達だった。

この何年か、僕は担当を外れていて、

業務上での付き合いも、連絡も

途切れていたのだったが、

お別れは伝えたかったので、勇気を出して電話してみた。


電話越し、いつも通り威圧感のある抑揚で、

僕はどもってしまった。

なぜ会社を辞めるのか、それは聞けなかったけど、

いつも通りの声を聞けて、

怒鳴られ続けた遠い昔の日々を思い出しつつも、

ただ感謝の念を忘れずいようと、思った。