所感

何年か前、とあるビルのオーナーは女性の老人で

高齢という事もありあまり意思疎通ができなくて苦労した。

僕が訪ねて、インターホンを押しても出てこずに

3度目かで出てきたオーナーの部屋はカーテンに覆われていて、

西日が差し込んでいたのかオレンジ色に染まってはいたが、薄暗くなっていた。


しばらくして僕は担当を外れてそのビルへは行かなくなったのだけど

今日、人づてにそのオーナーが亡くなったことを知った。

悲しいとかはもちろん、感じなかったのだけど

曲がった腰でよぼよぼと、弱りながらも

話してくれていたオーナーも

死んでしまったら、記憶の中だけになるのだとおもう。

そして僕はもう長く、ここにいるなと思った…