眠れずに振り返る

眠れないまま、鳥のさえずりが聞こえてきた。

このまま起きていようか?

眠りに就こうとした時、辞めていった後輩のことが

ふと頭に浮かんだ。

2013年から5年間、現在に至るまで何人辞めたんだ?


2011年、地震が起きた年には、僕には二人の部下がいた。

二人にそれぞれ特徴があって、ニヒルな青年とマイペースな青年だった。

初めての部下という事もあり、僕らしくまとめていこうと思っていたけど、

今よりずっと仕事量が多くあり、僕が発する優しい言葉を

すぐに裏切るようなことばかりだったように思う。

マイペースな奴はそういう僕を心底嫌うようになっていった。

生まれて初めて人に恨まれる経験をして、

何ともいえぬ気持ちになった。


結局翌2012年に僕が他へ移動となり、その後いろいろあって

僕の担当エリアはマイペースな青年に引継ぎ、

ヒルな青年は常駐現場へ移動となり、解散となった。

こうして書くと、この経験は大きな挫折だったんだな、と今更ながら思う。

そして二人とも結局は辞めてしまった。

僕より10位年が離れていたけど、二人ともまだ二十代、どこにいるのだろうと思う。

ヒルな青年は、会社の事務員のおばちゃんと結婚したので、

我が社にいた価値はあったとは思うが。


2012年〜2015年の四年間、僕は親会社へ出向していたので、

当時の会社の実情は良くはわかってはいない。

この挫折が強くマイペースな青年にも会いたくなかったので、

会社へ戻る事は殆ど無かったように思う。


その間も学卒で入ったイケイケの青年も、上司とそりが合わず辞め、

香川から来たギャル男も、良く飲んだりした仲だったけど、

常駐現場へ移動後に辞めて、香川へ帰っていった。

その他、あんまりしゃべる事はなかったが、ギャル男でメガネをかけた後輩も退職し、

今は結婚しトラック運転手をしているはずだ。


2016年、出向解除し会社へ戻ってきたが、その年の終わり、

一番仲の良かった後輩が退職をした。

今でもたまに会えるので、関係は続いているが、

仲が良かっただけに、やはりショックは大きいものだった。


2017年は部下の一人が退職をした。

仕事のできないもやしのような存在だったけど、

皆から何故か好かれていて、僕もコンビを組んで気は楽だった。

彼も辞めてもう1年になるのだが、たまに会ったりしている。

まだニートでいるのが心配なんだが、何とかなるような気もしている。


その他、ここには書かなかったが新卒の若手2人と、中途1人が退職しているので、

合計すると10人にもなるのか。

無責任と言われるが、辞めたいという人間に対して、

僕は辞めない方がいい、といった事はない。

特に高卒で新卒で我が社に入った若者に対しては、3年以上在籍をしたなら

辞めるっていう経験をする事も、人生にとってはプラスなのではないか、と思うからだ。


一方、その考えに今は違いはないけど、

いざ自分だけがこの会社に残っている現状を考えると、

とても取り残された感が強くある。

そして変化のない人生をもう40になって後悔している。

僕も辞めようと、何度も何度も思った。

なぜそれができなかったのだろう…


2018年現在、周りにはたくさんの中途社員が入社してきて、

5年前と比べ3倍くらいに増えている。

机を並べていると、たまに孤立感を感じるようになってきた。

一方、辞めていった後輩たちが今もまだ会社に残っていたなら、

組織力としてもう少し強さが伴っていたのではないか、とも思う。


過去の歩みを振り返ると、何もなかったような日々で

人は過ぎ去っているのだと、思う‥