オルゴールの音色は悲しく

ここのところの現場作業では緊急が多く、

とてもついていない。

今日の夜もとある新宿の現場で管理室から異音がするので

現場へ向かってほしい旨依頼を受けた。

日も暮れかけた夕方、高層群ビルが立ち並ぶ西新宿の現場、

ふと街並みを眺めると、昔この近くでアルバイトをしていたことを

思い出す。もう17年も前のことだ。

20代のあの頃は都会の中で働く高揚感と、

わりと周りに恵まれていたので、とても充実した日々だった。

それはもう「過去」なんだけど、夕暮れ西新宿の街に

思いを馳せてしまった。


現場へ着くと、管理室から怪しげなメロディーが聞こえてきた。

扉を開けると小さなオルゴールの音色が聞こえてきた。

確かに…異音ではあるが、まさかオルゴールとは…

ネジを回して音を止めて、扉を閉めた時の

何とも言えぬ徒労感が強く襲ってきた。