桜の木の下で

突発的な別れが続いている、そんな毎日だが、

気づけば桜は満開になっていた。

今の会社を去る者もいれば、無論、残る者もいる。

残るというより他に行く場所がない、

そんな人間がただ留まっている、そんな会社だ。

きれいな桜の木の下で、そんな男と缶ビールを開けて、

今夜はわびしい花見となった。

そのオヤジは、もう今の会社以外、社会の居場所がない。

周りがそう見ているのを本人は無意識で感じている、その反動か、

小さな会社の小さな世界で、自分の存在を誇示しよう、

どうでもいい自慢話をしていた。

僕はどうでもいい相槌をしつつ、眼上に咲く桜が散り、

このオヤジと過ごす春のおわりには、溜息しか出ない気がした…