飴玉一つ

「○○さんは今、希望とかってあります?」

若い人にこう言われ、僕は苦笑いするしかなかった。


幼い頃、駄菓子屋で

瓶の中にあるたくさんの飴玉をみつけた。


その中で色がきれいで甘そうな飴玉を

一つ、何となく選んだのは、10代の頃だった。


ずっと、手の中にあった飴玉を、

口の中に入れたのが、20代の頃。


くちゃくちゃと口の中で溶かし、

小さくなって甘さを感じなくなってきている、今の僕。


ぼくにとって希望は口の中にある小さな飴玉…

そんなことを伝えることもなく

伝える間もなく、次の話題へ進んでいったのだった。