移動

四月になると僕はまた移動をすることになった。

移動、といっても前の職場へ戻るだけなのだが。

四年ぶりの復帰となる。


この四年、今の職場の仕事とは一体何だったのだろうか、と思う。

今から四年前、僕は仮出向みたいな形で

別会社へ籍を移動することになった。

この「仮」っていうのが、みそで、

何とも宙ぶらりんの身分だった。

仕事の内容は変わらないのだが、自らの立ち位置が

灰色のような状態が続いていたように思う。


それでも現職場で得るものがあったとしたら、

対お客に対する意識の変化であったように思う。

提案をし客を掴まえていく、

お客が喜んでもらえることを一義にして

仕事ができるようになった(つもりだ)。

また別会社からみた我が社というものを

俯瞰できるようになった。

あんま、いい会社ではないと、今も思っている…


一方、失ったものがあったとしたら、

それはこの四年という長さであった。

やはり長すぎたと思う、四年は。

変化のない日々に浸り過ぎた感が強いし、

それにとても安心してしまって、

何か新しいものを得て行く意欲がなくなってしまった。


四月になれば僕はまた何か変わっていくのだろうか、

変わっていく余地はあるのだろうか。

春の暖かさに今は寒さを感じている。