30年後

考えてみると、僕が小学生だった頃の同級生の名など

今となっては薄っすらとしか思い出せない。

毎日僕は学校へ通っていたはずなのに、

その毎日が確かなものではない。

今あるのは、ぼんやりした情景だけだ。


僕は記憶力が悪いのだろうか?


そんなことはないはず。

確かにあった日々もいつかは消えてしまうものだ。

30年後、僕が60になった時、

今まわりにいる人も、日々の営みも

消えてしまうのだろう。

問題は僕に30年後があるということだ。

事故でもない限り、僕は60くらいは生きられるだろう。

それが問題だ。