苦節九年

昨日の工事、建物のオーナーはとても気難しく、

うちの会社は何度もクレームを起こしていた。

僕自身もとても苦手で、年二回の作業日が近づていてくると、

いつも暗くなってしまった。

そして昨日一日だが、オーナーは確かに細かく、

下手な事をすると怒られるような、威圧感はあった。

ただ、何となくなんだが、話せた、普通に。

何だ、普通のおじさんではないか、と思えた。


この会社に入ってもう九年。

何も身に付かないような年月だったのは確かだ。

だけど、人とのコミュニケーション能力は少し上がった、と思う。

当り前だ、毎日毎日いろんな人とあってきたのだから。

嫌な人、苦手な人は今もいる。

でも会って合わなければならない。

「もういいや」で飛び込んでしまえば、

何とかなる、時は過ぎてく。

そんな処世術、みたいなものは、この九年で得たのではなかろうか。