僕は今でも女の子と喋るとドキマギしてしまう。

その反面、街で目が合ったりすると

気があるのではないかと妄想したりする。


高校の時もそうだった。

学年の中でとても可愛い人がいた。

その人は可愛くて華があり美しさのオーラを放っていた。

クラスは違っていたのだが、

廊下などですれ違うたび、そのオーラに圧倒されていた。

その反面、とても手の届く人ではないな、とも思っていた。


ある土曜の晴れた日。

駅までの帰り道を歩いていると、

ピンクの傘を差した人が前を歩いていた。

こんな晴れているのに、傘を差すなんて馬鹿な奴だと思い、

顔を見てみようと、早足で追いかけた。

すると、傘を差していたのは彼女だった。

瞬間、目が合ってしまい、どうしたらいいかわからずに居た。

「ヤッホー」と彼女は言った。

僕は完全に頭が真っ白になってしまい、

「あぁ、そうですか‥」と答えてしまった。

彼女は何事もなかったように、坂道を下っていき、

僕は立ちすくんでピンクの傘を見るだけだった。


その後、彼女とは何もなかったのだが、

あの時、何で気の利いた言葉が出なかったのかという後悔と、

それでも仕方なかったんだという思い、両方あった。


あれからもう何年も経つのだが、

今でも街で日傘を差している人を見ると、

そのことを思い出したりする。

そして、気の利いた言葉を用意して…